岡田 夕子

30代から知っておきたい「四大認知症」の話

最終更新: 2022年9月27日

こんにちは、精神科医/コラムニストの岡田夕子です。

「介護に疲弊している」

そんな話を聞いたことはありませんか?年代的には40代、50代の方が介護を担っていることが多いように感じます。あなたが介護を担う前に、少しでも知識を蓄えておくことで、来たるべき介護に向けて、今から準備をすることができます。

遠い未来だと思っている介護も、もしかしたら身近に迫っているかもしれません。そんな世代の方々に向けて、今回は四大認知症の話をお伝えしたいと思います。

四大認知症①:アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症には「若年性」と「晩発性」があります。そのラインは65歳で、65歳までに発症したら若年性、65歳以上で発症したら晩発性と言われます。

この2つの違いは進行のスピードです。
 
若年性アルツハイマー型認知症は40~50代で発症し、進行スピードが速い特徴があるため寝たきりになるのも早いです。
 
一方で、晩発性アルツハイマー型認知症は「進行がゆっくりであること」が特徴です。ゆるい坂道をゆっくり降りていくように進行していきます。早期には自分が物忘れをしている自覚があるので、落ち込んでしまうこともあります。

四大認知症②:レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、パーキンソン病の仲間です。

どちらの病気も脳の黒質というところでドーパミンが減少しています。運動症状が先に見られ始めたら「パーキンソン病」で、認知機能の低下や精神科的な症状が先に見られ始めたら「レビー小体型認知症」と呼ばれます。最初に見られる症状は、「物忘れ」や「幻視」「妄想」です。抑うつを認める人もいます。この場合はうつ病の治療が必要になることもあります。

そして、独特なのは「ON/OFF」現象です。スイッチが切れたようにぼんやりしていることもあれば、スイッチが入ると病気になる前のように見えたりします。このスイッチが1日の中で切り替わるのが特徴です。

四大認知症③:血管性認知症

アルツハイマー型認知症の次に多いと言われているのが「血管性認知症」です。血管性認知症は「まだら認知症」とも言われており、生活習慣を見直さなければ誰でもなる可能性があります。

「血管性」という名前の通り、この認知症の原因は「脳の血管」にあります。血管が詰まるごとに、階段を降りていくように「物忘れ」などの認知症の症状が悪くなっていきます。どこの血管が詰まるかによって症状も違いますし、できなくなることも違います。ただ、「詰まったところ」以外は普通にできるため、「まだら認知症」と表現されるわけです。まだらであるからこそ自分の物忘れに対して落ち込み、早期には抑うつ状態になることがあります。

四大認知症④:前頭側頭型認知症

この病気の特徴は、50代の中年で発症し、性格が変わって怒りっぽくなり、社会のルールを守れなくなり、遅れて物忘れが出てくる認知症です。前頭側頭型認知症の場合、ほとんどが65歳までに発症します。50代で一生懸命家族を支えていた人が、急に人が変わったようになってしまうのです。
 
比較的記憶が保たれる時間が長いこと、また若年であり身体が健康であることから、介護をする側にとっては少し厄介な認知症といわれることもあります。

前者3つの認知症は、初期のカウンセリングが効果あり!

アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・血管性認知症は、初期に抑うつ症状がみられることが特徴です。精神科での治療も有効かもしれませんが、カウンセリングもまた有効であると考えていただいて結構です。自分が認知症になるということはとてもショックなことです。そのため、その不安やつらさを、カウンセリングで和らげましょう。

まとめ

今回は四大認知症についてお話しさせていただきました。認知症が発症したから何もできないのではなく、気分の落ち込みを改善させることが認知機能の維持にも繋がりますので、ぜひ、精神科でのうつの治療やカウンセリングを併用していただけると良いと考えています。

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岡田 夕子 Yuko Okada

精神科医/コラムニスト

医師×YouTuber×Webライターとして、さまざまな分野で才能を発揮しています。運営するYouTubeチャンネル『精神科医・みずきのこころチャンネル』では、こころの病気・症状、お悩み解決の仕方などを、自分の体験談なども交えながら発信しています。

https://www.liblaboratory.com/okadayuko

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