精神保健福祉士・社会福祉士/コラムニストの久木田みすづです。
今回は、『パニック障害』についてお話しますが、皆さんはこの言葉を聞いたことがあるでしょうか?
パニック障害は、100人に3人程度の割合で起こり得る可能性があると言われています。
今回は、そんな私たちの暮らしに身近な疾患であるパニック障害について知り、どうしたら少しでもその苦しさを和らげることができるのかを考えていきましょう。
パニック障害ってどんな症状?
パニック障害は、突然発作が生じるというが特徴を持っています。それを何度も繰り返すうちにパニック状態に陥り、恐怖感がどんどん大きくなってしまうのです。
女性の方が男性よりも発症しやすく、セロトニンやノルアドレナリンなどの脳内神経伝達物質の働きが上手く機能しないことが原因だと考えられています。以下に、パニック障害の主な症状を3つご紹介します。
1 .パニック発作
パニック発作は、急に心臓がドキドキしたり、呼吸ができない状態になり、大きな不安や恐怖に襲われてしまう症状を言います。突然、わけもなく冷や汗を書いたり、目まいがしたり、場合によっては吐き気を感じる場合もあり、立っていられないような状況になってしまうのです。
2 .予期不安
パニック発作は一時的なもので、30分程度落ち着いた状態を保つことで、症状は消えていきます。しかし、こういったことが何度か繰り返し起こるようになると、「今後また同じことがおきたらどうしよう」「このまま死んでしまうのではないか」「もし電車で発作が起きたら、迷惑をかけてしまうのではないか」など、未来を悪い意味で予測してしまい、大きな不安を感じるようになってしまいます。これが予期不安です。
3 .広場恐怖
自分が発作を起こした場所に対して、不安や恐怖感を持つようになることを、広場恐怖と言います。この症状があると、一度バスの中で発作が起きた場合などには、「またバスに乗ったら発作が起きてしまうかもしれない」と感じて、バスに乗れなくなってしまうこともあるのです。
パニック障害の不安を落ち着けるためにできること
パニック発作が起きる可能性は、誰にでもあります。ここでは、パニック障害の苦しさや不安感を少しでも和らげる方法をお伝えします。
・自分にとっての安全基地を作ること
「何かあればすぐにトイレに行ける」「具合が悪くなっても、この席なら迷惑をかけづらい」など、自分にとって少しでも安心できる場所にいることを意識するだけで、不安感は随分と軽減されます。その他にも、職場の机に好きな写真を飾ったり、お守りを置いたりして、「これを見たら落ち着ける」と自分を安心させることも、不安感の軽減に効果的です。
・ゆったりした呼吸を心がける
パニック状態になる前には、呼吸が荒くなる可能性があります。そのため、日頃からできるだけゆったりとした呼吸を心がけましょう。「鼻から4拍で吸って、口から8拍でゆったり吐く」といった呼吸を意識するだけで、だんだん心が落ち着いていきます。
不安を感じたら、「どうしよう」と焦る前に、まずは目を閉じて深呼吸をする習慣を身につけてみてくださいね。
パニック障害は、真面目で頑張りすぎてしまう方ほど発症しやすいとも言われています。そのため、普段から100%の力を出しすぎずに、少し肩の力を抜いて過ごすようにしてみましょう。また、ストレスと上手くつきあっていくために、自分に合った不安を軽減するための方法を見つけることが大切です。
参考URL
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/43.html
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久木田 みすづ Misuzu Kukita
カウンセリングセンターや精神科病院に勤務。うつ病などの患者さんや、その家族に対するカウンセリング・相談や支援を経験。以前より好きだった「文章で表現すること」を活かし、現在はメンタルヘルス系の記事を執筆するライターとして、多くの人に心と体をケアする大切さについて積極的に伝えている。
<保持資格>日本心理学会認定心理士、精神保健福祉士(国家資格)、社会福祉士(国家資格)
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