精神保健福祉士・社会福祉士/コラムニストの久木田みすづです。
あなたは、「DV」についてどの程度知っていますか?
「夫から、悪口を言われる」「性交渉を強要されて嫌だけど断れない」などという悩みを持ちながら、「暴力を振るわれているわけではないし、誰にも相談できない」と感じている女性の方は、意外と多いのではないのでしょうか?
パートナーとの関係がおかしいかもと思ったら、自分たちの関係を客観的に見て、自分のことを守ることがとても大切です。そのために、正しい知識と対処法を身につけましょう。

DVの実態について
DVは、ドメスティック・バイオレンス(domestic violence)の頭文字を取ったものであり、配偶者、恋人からの暴力を意味します。これは必ずしも、男性から女性への殴る、蹴るの暴力だけではなく、精神的に追い詰める言葉の暴力や、女性から男性に向けての暴力なども含みます。
実は、令和2年度の内閣府の調査によると、女性の4人に1人が配偶者からの暴力を受けた経験があると回答しているのです。
DVが原因で起こる事件なども、後を経ちません。平成13年にDV防止法が制定されてからは、結婚をしていないとしても、DVをすることは犯罪行為に当たるとされています。

DVの種類とは
DVには、いくつかの種類があります。ここでは主なものを3つ紹介します。
身体的暴力 殴ったり、髪の毛を引っ張ったり、身体ごと引きずりまわしたりするなど、身体にダメージを与える暴力を指します。また、持っている物を床に投げつけたり、相手に当たるように投げたりすることも含みます。何度も相手に怖い思いをさせることで、相手に「また叩かれるかもしれない」という洗脳状態にさせてしまうのです。
精神的暴力 「キモい」「死んでしまえ」「お前なんてクズだ」など、パートナーを侮辱したり、大声で怒鳴って、精神的に追い詰めるなど、心を傷つける行為を言います。第三者のいる前で、相手を馬鹿にするような言動を取ることも含まれます。これにより、自分の方が相手よりも優れているという上下関係を作ろうとするのです。
性的暴力 相手が嫌がっているのにも関わらず、性行為を強要したり、避妊に協力しないことなどを指します。相手が嫌がったとしても大声で怒鳴るなどするため、行為を受け入れるしかない状況を作り出すのです。
ここでは、3つ紹介しましたが、束縛が激しく友人とつきあうのを制限するなど、相手を社会的に隔離させようとする「社会的暴力」、配偶者に生活費を渡さない、お金を返さないといった「経済的暴力」などもあります。
また、子どもがいる場合には暴力を振るっている様子を見せることなどが虐待にあたり、子どもの心身の発育に大きな影響があるため、すぐに解決することが重要です。

「DVかも」と思ったら
DV被害に遭う女性の多くは、優しく真面目で、世話焼きな特徴があります。特に感受性が豊かな方は、相手の怒りまで受け入れてしまい、「私がいないと彼が生きていけない」と思ってしまう場合があるのです。
しかし、「DV」は犯罪です。少しでも苦しいと思ったら、我慢せずに相談機関を利用しましょう。
地域の配偶者暴力相談支援センターでは、DVに関するカウンセリングを受けることができます。また、インターネット上のサービスにおいても、カウンセラーに相談することができます。大切なことは、被害にあった時に、すぐに行動に移すことです。
◆配偶者暴力相談支援センター(男女共同参画局)
◆LIB Laboratoryのオンラインカウンセリング
「DV」は、恋愛関係にある男女であれば、誰にでも起こりうる可能性がある問題です。親密な2人の間の問題だからこそ、周囲に相談できずに悩んでしまう方もいます。しかし、大きな事件に発展することを防ぐためにも、少しでもおかしいと思ったタイミングで、早めにカウンセリングや相談をしましょう。自分の心を大切にし、自分と向き合うことが重要です。
参考URL
内閣府 男女共同参画局
◆心理カウンセリング
◆LIB Laboratoryの公式LINE
久木田 みすづ Misuzu Kukita
カウンセリングセンターや精神科病院に勤務。うつ病などの患者さんや、その家族に対するカウンセリング・相談や支援を経験。以前より好きだった「文章で表現すること」を活かし、現在はメンタルヘルス系の記事を執筆するライターとして、多くの人に心と体をケアする大切さについて積極的に伝えている。
<保持資格>日本心理学会認定心理士、精神保健福祉士(国家資格)、社会福祉士(国家資格)
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