精神保健福祉士・社会福祉士/コラムニストの久木田みすづです。
「次は傷つかない恋をしたい」「なぜかいつもダメ男と付き合ってしまう」と悩んでいる女性も、少なからずいることでしょう。
例えば、男性側の行動に振り回されてばかりだったり、金銭的に依存をされたり、時には暴力を受けるのに、それでも我慢をし続けるケースが存在します。そして、結果的に深く傷ついて別れてしまうのですが、また次も同じような男性を選んでしまうのです。
なぜ、このような女性たちはダメ男にばかり恋をするのでしょうか?
なぜダメ男と縁ができてしまうの?心に潜む共依存
ダメ男と縁ができてしまう女性たちは「誰かから自分を必要としてほしい」「頼られることで自分の存在価値を見出したい」などと、強く感じてしまう人が多いようです。そして、そのような女性には自然と「どんな自分でも受け止めてもらいたい」「(自分の)面倒をみてくれる人をそばに置きたい」と思う男性が引き寄せられやすいのです。
このような2人がパートナー同士になると、依存させてあげる側と依存する側という役割ができ、お互いにその関係を無意識に心地よく感じます。つまり、お互いに立場は違っても、依存しあっている関係が成立してしまうのです。これを心理学用語では、「共依存」と呼んでいます。
共依存は、お互いがお互いを補い合う関係になりますので、2人で1人という一体感を持っています。しかし、私たちは本来、「個人」という1人の人間に変わりはないため、共依存的関係を維持していくには限界がくることもめずらしくありません。
共依存的意識を緩和し、素敵な男性と出会うには?
共依存に陥ると、将来的には疲れてしまい、良好な関係を築き続けて行くことが困難になるとされています。関係が終わると、悲しみや後悔、苦しみなどのマイナスな感情が残ることが多いので、その先の人生にも大きな影響を与えることもあるでしょう。そうなることを防ぐためにも、以下のような共依存的意識を減らして行く工夫が必要です。
まずは自分が共依存に陥っていることに気づく 共依存は、ほとんどの場合が無意識に行っています。つまり、自分がそうしているとは気づいていないことが多いのです。しかし、パートナーといると、気持ちが重くなる、調子が悪くなる、嫌な気分が沸き上がることがひどいなら、自分が共依存に当てはまっていないかを考えてみてください。 また、家族や友人などの信頼している人に、自分たちの状況がどう見えるのかを聞き、客観的な視点からとらえてみるのも良いでしょう。共依存的意識を自分が持っていると理解できたなら、今後どう対処していくのがベストかという道筋も見えやすくなります。
自己愛を高め、相手を見放す勇気を持つ 共依存になる女性は、相手から頼られることで自分の価値を見出すという特徴があります。例えば、明日までにお金を返さなければ自己破産しかないから、お金を工面してくれという男性に対して、自分が代わりに支払ってあげることで、「この彼を救えるのは私しかいない。」「彼の力になっている私の献身的姿勢は、すばらしい」と過剰な自己評価をしてしまうのです。 しかし、この考えの裏には、「人に尽くすことができない自分は価値がない」「人に必要とされてこそ、自分の存在意義がある」という意識が潜んでいる可能性があります。つまり、自分を愛することができないからこそ、他者から依存されることで、自分の存在を確かめている状態なのです。 ただ、それでは該当する相手(他者)がいなければ、どんどん自信がなくなるとも言えます。こういう状態を続けないためには、意識を自分に向け、小さな成功でも自分を認めてあげることを繰り返しましょう。そうすると、少しずつ自分を愛する感情が分かってきます。また、相手が頼ってくる=自分の価値が高まるという捉え方への執着を手放すことで、人が依存してくる回数も少なくなることでしょう。
カウンセリングを受けることも有効 共依存的意識は、幼い頃に親から愛情を得られなかったことが影響している場合もあります。親からの愛を得るためには、自分を犠牲にし、親を喜ばせなくてはという気持ちがずっと残り、未だにパートナーと親を重ねて見ていることもあるのです。このようなケースは、自分のみで解決するのは難しいので、カウンセラーの力を借りることが大切だと言えるでしょう。 カウンセリングの中で、親とパートナーは別の存在であること、相手をサポートすることと自分の価値は関係ないことの理解を進めます。それにより、自分と他人の区別ができ、自分を許したり認めたりする気持ちが持てるよう導いていくことを目標にするのです。
上記の3つを意識し、共依存に陥らずに良好な関係を築けるようにしていきましょう。
本来、恋愛をすることでお互いが幸せな気持ちになり、時に高めあえる絆を育むことができるものです。自分にとっても相手にとっても幸せな恋愛ができるようにしていきましょう。
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久木田 みすづ Misuzu Kukita
カウンセリングセンターや精神科病院に勤務。うつ病などの患者さんや、その家族に対するカウンセリング・相談や支援を経験。以前より好きだった「文章で表現すること」を活かし、現在はメンタルヘルス系の記事を執筆するライターとして、多くの人に心と体をケアする大切さについて積極的に伝えている。
<保持資格>日本心理学会認定心理士、精神保健福祉士(国家資格)、社会福祉士(国家資格)
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