不妊治療を受けている人の多くが「不妊症」で、妊娠をするために治療を受けています。健康だと思っているものの「不妊症」と診断されたということは、自分が病気なのか、生殖機能に問題があるのか、と悩まれる女性は多いはずです。
今回は、「不妊症」についての解説とそのメンタルケアについてお伝えします。
■病気とはなにか、について考える
まずは、病気とはどういうことなのか考えてみましょう。
病気または病とは、人間や動物の心や体に不調または不都合が生じた状態のことをいい、怪我などの外的な要素は含まれません。この病気という考え方を参考にすると、「妊娠できない=体の中に異常がある」と捉える妊活WOMAN®さんもいるかもしれません。
そうすると、検査などでは全く病気は見つからないのに、なぜ、と頭をひねりますよね。
■不妊症は病気ではない
そもそも、不妊症は病気ではありません。正しくは不妊症候群です。"症候群"とは、医学的理由はまだ解明されていないもの同様の症状などが一定数現れた場合に用いられます。
一般的に不妊は避妊をせずに性交渉を行い、1年経過しても妊娠に至らない場合に医師は不妊と判断します。
つまり、「不妊症」とは妊娠に至らない状態のことを指しているのです。
■医学的に解明されていない不妊の原因
健康に気を遣い、精神的にストレスもない生活環境なのに不妊症であることを悩む女性は世界中にいます。男性側に精子を作る機能がないなどの原因があったり、女性側に受精しても女性の子宮で卵子が育たないなどの原因があったり、不妊となる原因が明らかな場合ももちろんありますが、未だ医学的に解明されていない不妊症も多くあるのです。
西洋医学が進化して現在の先端医療などが先進国で取り入れられるようになってからわずか数十年です。人の体は複雑で、医学的、解剖学的にもわからないことは山のようにあるのです。科学者ですら不妊の解明に必死なのですから、医学の知識を持ち合わせていない私たちが不妊の原因をどんなに考えても、真実に辿り着くことはかなり難しいということです。
■“今の状態”の捉え方を変えてみましょう
古くから『病は気から』という言葉があるように、不妊を悩み、精神状態が悪くなると体の免疫力が落ちて風邪をひきやすくなったり、アレルギーにもかかりやすくなったりなど、体調不良を引き起こすことがあります。妊娠は誰もが100%できるものではありません。そこへ、さらに体の外敵からの抵抗力が下がれば、妊娠率はさらに下がってしまう可能性があります。
自分が不妊症であるとラベルをつけ、体に問題があるのだと決めつけることで、心のバランスは崩れてしまいます。まずは、不妊とは今の状態であり病気ではないことを理解し、受容しましょう。
生命誕生は神秘的であると共に、そこに辿り着くまでのプロセスはとても複雑で奇跡的な確率の上に成り立っています。考え方、捉え方を少し変え、ご自身の暗いトンネルに光を差し込んであげてくださいね。
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安藤 麻矢 Maya Ando
ライター歴20年。専門分野は社会科学。趣味は動物の短編を書いたりイラストを描いたりすること。同情よりも共感が少なくなっている世の中、小さな手助けが人の心を救えることを信条としている。米国大学にて心理学学位取得、香港の大学にて健康行動学でマスターを取得しており、グローバルな視点と知識をもとにしたコラムを執筆している。LIB Laboratoryでは自身の介護経験を通じて感じることを心理学的な視点を交えてお伝えしている。
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